１０曲目 ページ10
Aが突拍子もないことを言い出してから1年。
あれ以来、Aと会うことが増えて…というか、誘われることが増えて、Aのことが好きな俺は特に断る理由もなく、2人の距離を縮めた。
会う度「まだ好きになってくれないのー？」とか「しょーた好き！」って、猛アピールされて、どうしたらいいか分からない。
確かに「翔太に好きになってもらえるように頑張る！」って言われたけど、そもそもどのタイミングで俺のこと好きになったのかさえも教えてくれないから、本当に好きでいてくれてるのかも分からない状況。
そんな好き好き言われたら逆に怪しいだろ。
で、今日もまたAとご飯の約束。
会わなきゃいいのに、会ってしまうのは、きっと俺がAを好きだから。 そう自分の中で答えは出てんのに、1歩踏み出せないのは、付き合って幻滅された時が怖いから。
基本何も出来ない俺は、すべて人任せ。引越ししたくても、家すら自分で決められないし、配線が分からないから毎回家族に手伝ってもらってるし、旅行のチケットや予約も、やり方が分からないから全部やってもらってる。
そんなダメ男な俺を知ったら、今こんなに好き好き言ってくれてるAでも、ドン引きすると思う。だって何も出来ないし。
歴代の彼女にもだいぶ幻滅されてきた方。それに、23年そうやって生きてきてんだから今更変われないし、周りがやってくれるから変わろうとも思ってない。
だから、そんな俺を知られる前に、Aには他に好きなやつ見つけて欲しいのに…
「翔太！私と付き合って！」
渡「無理だって」
「なぁんでよー！」
渡「なんでも！ ……俺より良いやつ絶対いるし」
「えー、この1年出会わなかったよ？」
渡「それは、お前が周りを見てないからで…」
頼むから、もう…
渡「周り見たら、絶対…」
「見たよ？たくさん」
「告白だって何回もされた」
渡「は、？」
「そのうえで、私は翔太が好きって言ってるんだよ？」
渡「………なんで俺なんだよ」
「えぇ…なんでって、、うーん、一目惚れ？」
渡「え？」
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作成日時：2023年9月17日 15時
