８曲目 ページ8
渡「……まだ、未練とかあんの？」
「んー、あるかも笑 中学2年の時から付き合ってるから、別れたのは去年なのに…未練がましいよねぇ、もう半年も経つのにさ」
中2って…俺がAに一目惚れしたときじゃん。
あの時、Aは彼氏いたんだ。
渡「ませてんな。中2のくせに」
「くせにって言うなー？」
渡「てか中2から去年まで付き合ってて、好きな人出来たからって突然別れ切り出される？ 予兆とかなかったわけ？」
「予兆……は、、、」
一瞬目を見開いて瞳が揺れる。
渡「その反応、予兆はあったってことじゃん」
「いや、予兆っていうか、その…」
「周りに別れた方がいいって散々言われてきたの」
「高校時代、浮気してるとこ見たって友達がいたり」
「私自身、彼が女友達と出かけてるの知ってたし…」
渡「は？ なんでそのとき別れなかったんだよ」
「……私、好きになると周りが見えなくなるの、」
「彼が浮気してるってとっくに気づいてたのに、」
「別れるのが怖くて見て見ぬふり、してた…」
「それに、好きだよって言ってくれるから、、」
渡「んなの、口ではなんとで言えんじゃん」
「そうだけど、そうなんだけど…」
いたたまれなくなったのか、どんどん小さくなって、しまいには目すら合わなくなった。
クズに引っかかる子の典型的なそれ。
照とは別の意味で愛が重たい。
そのレベルまで来ると、恋っていうより依存じゃん。
そいつはAを“彼女”じゃなくて、“都合のいい女”として扱ってたってことだろ。
自分は女と遊んで、好きだよって言葉だけでAのこと8年も縛り付けて、最後は「好きな人が出来たから」って。やってること相当クズ。
なのに、なんでそんなやつのことまだ好きなわけ？
渡「意味わかんねぇ」
「…ごめん、」
渡「……Aさ、そいつしか知らねぇからまだ未練あるんだろ。」
「え、」
渡「中2から8年ずっとそいつに振り回されてたから、他に男を知らないんじゃねぇの？ あいつ以外に付き合った？」
「……付き合ってない、」
渡「ほら。 だからまだ好きなんだろ。」
渡「もうそんなやつ忘れたら？ いい所はあっても、クズさをカバーできるほどじゃねぇだろ。」
「それは…」
渡「Aなら、そんなクズよりもっと良い奴と付き合えると思うけど」
「……………初対面なのに、すごい言ってくるね、」
渡「引いた？」
「…ううん、逆にそこまで言われると清々しいよ、笑」
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作成日時：2023年9月17日 15時
